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2015/02/27

dビデオスペシャル 「仮面ライダー4号」3/28配信決定記念 特別対談!!

 すでにテレビシリーズだけでも16作目に突入している平成仮面ライダーシリーズ。東映の白倉伸一郎プロデューサーは『仮面ライダーアギト』(2001年)をはじめ、半数近い7シリーズを手がけ、近年も劇場版の企画&プロデュースなどを担当している。
 一方、松岡充が初めて『仮面ライダー』に関わったのは映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010年)で、仮面ライダーエターナル=大道克己役として。この作品の好評を受け、後にはVシネマ『仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーエターナル』(2011年)も作られた。そして、現在放送中の『仮面ライダードライブ』(14年)においても、新たにドライブのために結成したユニット「Mitsuru Matsuoka EARNEST DRIVE」を率いて、主題歌を歌っているのはご存知の通り。さらに昨年末に公開された映画『仮面ライダー×仮面ライダー ドライブ&鎧武 MOVIE大戦フルスロットル』(14年)においては『ドライブ』主題歌のカップリング曲が主題歌として起用された。すなわち、松岡が平成ライダー作品の主題歌に関わるのは、今回の『仮面ライダー4号』でなんと5作目となるのである。だが、担当作品の違いなどもあり、ふたりがじっくり話す機会は今までなかったという。
 
松岡 もちろん、お名前は歴代の作品のクレジットで拝見していましたし、お噂もかねがね……。
白倉 どんな噂ですか(笑)。
松岡 作品でご一緒するのは実質、今回が初めてなんですよね。
白倉 そうですね。いや、こちらはなんというか、今までは「観客」でしたから。ミュージシャンとしてだけじゃなく、俳優としても活躍されているのは知っていましたけど、仮面ライダーエターナルとして出演されている作品を観たら、かなり体を張っておられて。これはきっと、あの坂本浩一監督の毒牙にかかったんだろうと(一同笑)。
松岡 坂本監督には本当にお世話になりました。監督と僕が同年代ということもあって、かなり意気投合したんです。坂本監督はアクションの世界に夢を見て、若い時に渡米し、近年は日本でもアクション映画を盛り上げようと情熱を持って取り組んでいる。そういう部分に共感したんです。
 
今回は、主題歌のオファーの方が先行していたという。
 
松岡 いろいろ、ビックリすることだらけでしたよ。4号の前に、まず次の映画に「仮面ライダー3号」が出ます、と。仮面ライダーを知っている人からすれば「3号って何? V3はどうなったの?」っていう話じゃないですか(一同笑)。それが、その3号すらまだ世の中に出ていない時点で「4号」の主題歌というお話をいただいたので、さらに驚かされました。それで台本をいただいて読んだら、これがまた深い内容でしたね。ネタバレになるので、あまり細かいことはまだ言えませんけど、世界情勢もありましたが、「生きる」ということについて想いをめぐらせていた時期だったので、主題歌を担当させていただくにあたっても、考えさせられることが多かったんです。そうしたら、それから間もなくして、4号の声をというオファーもいただいたんですよ。最初は、エターナルと同じ人間が演じていいのかと思ったんですが、4号のキャラクター自体にも、実はエターナルとの共通点がちょっとあるんですね。そういう意味でも、この企画に非常に魅力を感じたので、4号役を喜んでお引き受けしました。
白倉 ありがとうございます。
松岡 dビデオでの配信ということもあって、大人にメッセージした物語ですよね。
白倉 自分自身のことを考えたときに、もちろん映画館にも行くし、テレビも観るんですけど、いちばん利用しているのはスマートフォンだったりするんですよね。観るものは配信されている映画や、録画していた番組なんだけど、画面としてはスマホを観ていることが多い。ただ、観ているコンテンツは基本的に、別のメディア用に作られたものじゃないですか。そうじゃなくて、配信ベースで何かを生み出せないかというのをずっと考えていて、今回の企画に至ったんです。前にネットムービーをやっていましたけど、今度の『仮面ライダー4号』は規模からして違います。
松岡 そうですよね。スケール感もあるし、ここからさらに何かが生まれていくんじゃないか、というような勢いも感じました。
白倉 映画の『3号』があったから実現できた企画ではあるんですけどね。
 
 これまで松岡が『仮面ライダー』シリーズで作詞を手がけてきた曲、「W」「cod-E ~Eの暗号~」、そして「sing my song for you ~サヨナラの向こう側まで~」には、松岡の「ヒーロー」や「正義」についての想いが込められている。子どものころに憧れた「正義の味方」。だが大人になるにつれて、「正義」が決してひとつじゃなく、シンプルなものではないという「現実」に直面する――。
 
松岡 そう思って『仮面ライダー』を大人になってから観直すと、また違う想いが湧いてくるんですよね。そもそも最初のライダーがすでに、悪の秘密結社が生み出した改造人間だったりするわけですから。いろいろな苦悩を乗り越えて、それでも仮面ライダーというヒーローは戦っている。『仮面ライダー』シリーズで詩を書くときは、常にそんなことを考えます。今回も、4号がまさに1号や2号と同じショッカーの改造人間なんですけど、彼はそれまでどんな人生を送ってきたんだろうか、家族や恋人はいたんだろうか……バックグラウンドまで想像するんですね。
白倉 今回の場合、アリマンモスっていう新しい怪人も出てくるんですが、「仮面ライダー4号」もアリマンモスも、元をただせば人間なんですよ。それを単なる「正義対悪」の図式に落とし込んで「勝ったぞ!」ということでいいものかと。娯楽作品としては、そういうふうにある種の記号化をしないと成立しないところがあるんですけどね。でも『仮面ライダー』に関しては、石ノ森章太郎先生の原作の時点から「ライダーも怪人も同じ人間」という底流がある。その点は、前面に出さないにしても、せめて匂わせたい。そうしないと、ただ娯楽として消費されていくだけだという思いがあるんです。